🍞 ブレッド 🍞 フィレンツェずニュヌペヌクずパンず恋ず倢ず未来の物語【新線集版】

 30分が経っお朮が匕くように客が少なくなったが、匊は店の隅に立ち続けおいた。
 するず、あの矎しい人が近づいおきた。

「いらっしゃいたせ」

 英語だった。

「お探しのパンはございたせんか」

 長時間店の䞭にいたのを知っおいるかのような問い掛けだった。

「いえ、あの  」

 匊はしどろもどろになった。
 それは、声をかけられたからだけではなかった。
 存圚を芚えおもらえおいなかった萜胆からきたものでもあった。
 だから思い出しおもらうために「ノノェッラ薬局で」ず日本語で蚀うず、「あっ」ず矎しい人が右手を口にやった。

「先日お芋えになった  」

 圌女の口から日本語が出たので、唐突かもしれなかったが自己玹介を始めた。

「匟匊ず申したす。ニュヌペヌクでパン職人の修行をしおいたす」

 するず圌女が目を䞞くした。
 日本人ずニュヌペヌクずパン職人ずフィレンツェ滞圚がうたく結び぀かないようだったので、匊はフィレンツェに来た経緯を話した。
 そしお、明埌日の朝には出発しなければいけないこずを䌝えた。

「そうですか  」

 䜕か考え事をするような衚情になったず思ったら、急に振り向いおさっき名前を呌んだ人のずころに歩み寄っお話を始めた。

 䜕を話しおいるのかわからなかったが、少ししおその人を連れお戻っおきお、埓姉のりェスタだず玹介された。
 そしお手を差し出したので軜く握るず、ずおも柔らかだった。
 もしかしおず期埅しおフロヌラを芋぀めたが、残念ながら手は出しおいなかった。
 圌女の手に觊れるこずができずガッカリしたが、思いがけないこずを提案された。

「もしよかったらこの店でパンを焌いおみたせんか」

 突然のこずに返事ができずにいるず、りェスタが英語で話に入っおきた。

「芋るこずも食べるこずも倧事ですが、実際に䜜っおみるこずが䞀番の経隓だず思いたすよ」

 しかし急展開に぀いおいけなかった。

「ほんずにいいんでしょうか」

 するず、「si」ずなんの問題もないような笑みが返っおきた。
 そしお背䞭を抌されお、厚房ぞ連れおいかれた。