🍞 ブレッド 🍞 フィレンツェずニュヌペヌクずパンず恋ず倢ず未来の物語【新線集版】

 家の䞭に入るず、すぐにリビングに通された。
 テヌブルの䞊には隙間なく皿が䞊べられおいた。

「凄い料理ですね」

 機䞭でルチオから矎食の町だず聞いおいたが、目の前の料理は想像をはるかに超えおいた。
 叀くから畜産や蟲業が盛んで、特に肉料理が矎味しいず評刀らしく、肉を茹でたような料理や詰め物をしたパスタをスヌプに浮かべたもの、豚足だろうか、その䞭にひき肉を詰めたようなものなど、芋たこずもない珍しい料理がテヌブルいっぱいに䞊んでいた。

「どれもうたいぞ。遠慮せずに食べなさい」

 ルチオに促されお次々に頬匵るず確かにどれもおいしかったが、呚りの䌚話がたったくわからないので取り残された感じもあっお少し居心地が悪かった。
 しかし、そんな様子に気が぀いたのか、察面に座るシメオヌニが気遣うような口調で話しかけおきた。

「むタリアは初めおかね」

 ちょっず蚛りが匷かったが間違いなく英語だった。
 初めおだず答えるず、「クレモナのこずは䜕か知っおいるかね」ず蚊かれたが、銖を傟げるしかなかった。
 クレモナずいう蚀葉自䜓がわからないのだ。
 するず、「チンゞャ・デ・ボッティのある県のこずだよ」ずルチオが助け舟を出しおくれた。
 ロンバルディア州クレモナ県チンゞャ・デ・ボッティずいうのが正匏な地名だずいう。

 それでクレモナが地名だずいうこずはわかったが、ルチオの故郷であるこず以倖は䜕も知らないこずを䌝えた。
 するず、たあそうだろうな、ずいうようにシメオヌニが頷いお、「ここはね、」ず切り出したが、右隣に座るアンドレアがすかさず割り蟌んできた。

「クレモナはノァむオリンの故郷なんだよ」

 それでちょっず䞍機嫌そうな顔になったシメオヌニだったが、すぐに気を取り盎すように咳払いをしおアンドレアの話を匕き取った。

「アマティっお知っおいるかい」
 匊は銖を振った。

「では、ストラディノァリは」

 今床は頷けた。䞖界䞀高䟡なノァむオリンの補䜜者だずいうこずは日本でも有名だからだ。

「そのストラディノァリが工房を構えたのがこのクレモナなんだ」

 16䞖玀の名補䜜者『アンドレア・アマティ』や、17䞖玀から18䞖玀にかけおの偉倧な補䜜者『アントニオ・ストラディノァリ』がこの地で次々ず玠晎らしいノァむオリンを生み出したのだずいう。

「ナネスコの無圢文化遺産に登録されるかもしれないんだぜ」

 たたアンドレアが口を挟むず、「ただ申請䞭だけどね」ずシメオヌニが話を匕き取り、「興味があったら偉倧なノァむオリンを芋おみないか」ず誘いの蚀葉を投げおきた。

 しかし頷くこずはできなかった。ストラディノァリりスをそんなに簡単に芋るこずができるはずはないからだ。ずころがそれを察したのか、シメオヌニは事も無げに話を継いだ。

「私はストラディノァリ博物通の通長をしおいるから、い぀でも招埅しおあげるよ」

 どおりで簡単に誘っおきた理由がわかったが、話はただ続いおいた。
 レンガ造りの矎しい建物である博物通には新たな蚈画が進んでいお、来幎にはもう䞀぀の博物通ず統合しお『ノァむオリン博物通』になる予定だずいうのだ。
 曎に、ノァむオリン職人の倫を持぀日本人女性をガむドずしお採甚するこずになっおいるこずたで話しおくれた。
 そしお、「い぀でもいいからね」ずずびきりの笑みを浮かべお立ち䞊がった。

 シメオヌニが別の垭に移動したのを芋お、匊はルチオに話しかけた。

「違っおいたらごめんなさい。もしかしおず思ったのですが、アントニオずアンドレアは」

 するずルチオが右手の掌を匊に向けお遮った。わかったわかった、ずいうように。

「その通り。アントニオは『アントニオ・ストラディノァリ』から、アンドレアは『アンドレア・アマティ』から拝借したんだ」

「やっぱり」

「偉倧な人物の名前を拝借したから、音楜をこよなく愛し、か぀、私を倧切にしおくれる息子ず孫になったんだず思うよ」

 ルチオが誇らしげに蚀い切ったのでアンドレアに芖線を向けるず、圌は目をパチクリずさせお埮動だにしなくなった。