🍞 ブレッド 🍞 フィレンツェずニュヌペヌクずパンず恋ず倢ず未来の物語【新線集版】

        

 6月になった。
 最高気枩は25床を超え、倏の到来が近いこずを告げおいた。
 そんな時、ルチオから突然の誘いを受けた。

「むタリアぞ行かないか」

 サマヌノァケヌションを利甚しお里垰りをするこずにしたから、䞀緒に行こうずいうのだ。

「珍しくアンドレアも行くっおいうからナズルも䞀緒に行こうよ」

「でも  」

 匊にそんなお金はなかった。
 埀埩の旅費に滞圚費を加えるず少々のお金で足りるはずがないのだ。
 しかし、すぐにその䞍安をアントニオが吹き飛ばしおくれた。

「お金のこずなら心配いらないよ。埓業員の研修旅行ずしお経費で萜ちるから䜕も心配しなくおいいんだよ」

 埀埩の飛行機代や宿泊費、食費などはすべお䌚瀟の経費ずしお萜ずせるのだず蚀う。

「小遣いだけ持っお行けばいいんだよ」

「でも、むタリア語がわからないし  」

 珟地の芪戚の人たちずの䌚話が匟たないだろうこずをルチオに䌝えるず、「それは心配いらない。ちゃんず通蚳しおあげるし、それに、ずっず付き合う必芁はないからね」ずあっさり吊定された。
 アンドレアずフィレンツェにでも遊びに行けばいいずいうのだ。

「いいんですか、そんなこずをしお」

「倧䞈倫。行く先々でベヌカリヌに寄っお詊食したり写真を撮っおくればなんの問題もないよ」

 むタリアのパンの神髄を味わうこずが䜕より倧事だし、それが立掟な研修になるずアントニオが倪錓刀を抌しおくれた。

「アンドレアも喜ぶず思うから3人で楜しんでおいで」

「えっ、3人っお  」

 5人で行くずばかり思っおいたのでしげしげずアントニオを芋぀めるず、「実は、私たちはパンの故郷ぞ行くこずを去幎から決めおいたんだよ」ず特別なこずではないずいうように笑みを芋せた。
 発酵パンが誕生した堎所、゚ゞプトぞ行くのだず蚀う。

「本圓はパンの故郷であるメ゜ポタミアに行きたかったのだけど、あの地域は政情䞍安だから諊めたんだよ」

 ねっ、ずいうふうに奥さんに芖線を送るず、「゚むシっお知っおる」ず䌚話に加わっおきお、「゚ゞプトのパンの名前よ。叀代から䜜られおきたパンで、䞞くお倧きくお平焌きになったパンなの。䞭が空掞になっおいおその䞭に焌いた矊の肉ずか豆ずかを詰めおサンドりィッチのようにしお食べるのよ」ず顔を綻ばせた。

「スヌプに付けお食べおも矎味しいんだ」

 アントニオが補足するように割り蟌んだが、奥さんは気にもずめおいないように話を続けた。

「それから、゚チオピアにも行く぀もりよ。そこにはむンゞェラっおいうパンがあっお、これはむネ科の怍物から䜜った粉を氎で溶いお発酵させおから焌き䞊げたものなの。クレヌプみたいに薄いパンだから、色々な具材を包んで食べるず矎味しいのよ」

 そしおワクワクを隠し切れなくなった奥さんは「人類が誕生したアフリカ、発酵パンが誕生したアフリカ、私たちの呜ず食の故郷に行けるなんお、これ以䞊玠敵なこずはないわ」ずうっずりするような声を出した。
 するず、たたらないず蚀った衚情になったアントニオが今にもキスをしそうな雰囲気になったが、匊の手前もあっおか奥さんを抱きしめるだけにずどめ、「珟地の人に教えおもらっお䜜り方を孊んでくる぀もりだから、ノァケヌションが終わったらアフリカのパン・パヌティヌをしようよ」ず話を収めた。

 その提案に奥さんが頷くず、「いいね、楜しみだね」ずルチオも続いたので、それで高揚したのか、アントニオが曎なる蚈画を口にした。

「来幎は日本に行くのもいいかもしれないね。そうだ、そうしよう。その時は5人で䞀緒に行こうよ」

 圌の頭の䞭では倢が広がっおいるようだった。
 それは匊も同じで日本ぞの旅を思い描いお心が匟みかけたが、ルチオの冷静な声で珟実に匕き戻された。

「ずにかく、匊の分も飛行機の予玄をしおおくから、その぀もりで」