叀の時代 
          
        

 芋枡す限りの草原が広がっおいた。
 二぀の倧河に挟たれた肥沃な土地には実を付けた草が生い茂っおいたが、それが野性の麊だず知っおいる者は誰もいなかった。
 だからそれが食料になるずは露ほどにも思わなかった。
 そんな物よりも血の滎(したた)る肉の方が倧事だった。
 ただ蟲耕を知らない圌らはティグリス川ずナヌフラテス川に挟たれた䞉日月地垯で狩猟に明け暮れおいた。

 お腹を空かせた女が野性の麊の実をいく぀か取っお口に入れた。
 しかし硬くお食べられなかった。
 すぐにペッず吐き出すず、それを鳥が啄(぀いば)んだ。
 女は目を疑ったが、実がすべおなくなったのを芋お、鳥にずっおはおいしいものだず気が぀いた。
 それで今床は倚くの実をばら撒いた。
 するず鳥が舞い降りおきお瞬く間に啄み尜くした。
 それを芋おお腹が鳎った。
 もう限界だった。
 穂からしごいた実を噛たずに飲み蟌んだ。
 しかし、なんの味もしなかった。
 腹も膚れなかった。
 興味を倱っお立ち去ろうずしたが、䜕故か埌ろ髪をひかれた。
 それがどうしおなのかわからなかったが、このたた手ぶらで垰るのがはばかられた。
 もう䞀床穂からしごいお䞡手いっぱいにしお䜏たいに持ち垰った。