「本当にありがとうございました」
もう一度お礼を言って軽くお辞儀をしたとき。
男性は私の横を数歩進んで。
私の後ろになる誰も座っていなかった席にトレーを置いた。
あっ、もしかしてわたしがいたから席に座れなくて。
邪魔しちゃった……。
またひとつ申し訳無さで心が曇る。
「ごめんさない」
「えっ、なんで謝るの?」
「だって邪魔してて」
そう言うと男性の顔が困ったみたいに歪む。
その表情にまた少し心が揺れる。
「邪魔してないから」
「でも……」
そうわたしが続ける前に。
「はい」
そう言ってショートケーキの乗った皿を渡された。



