近距離恋愛はむずかしい




「すみれ」



そう呼び止められて、後ろを振り向く。



「なんでしょうか」

「よかったら一緒に見ない?」

「え?」
 


突然なに?

なんで映画にわたしを誘うの?



「えーっと。
何かしてほしいことがあって?」

「いや。
強いていうと映画を一緒に見て欲しい」
 


いやいや、わかんない、わかんない。


真顔で、何かからかった様子もなく言っている優衣。

自分の座っているソファーの隣を叩いて、ここに座れとでもいいたげ。




『こいつ、何を考えてるんだ?メイドを映画に誘ってるのか?メイドが主人ととかダメだろ』


と言う口の悪い悪魔ちゃんと



『いい機会じゃん。こいつとでも映画は楽しめるでしょ!』



とこちらも口の悪い天使ちゃん。



次は優衣をこいつ呼ばわりなんて、相変わらずわたしの脳内の子達は口が悪い。



どっちの意見を汲み取るかなんて決まってる。




「ですが、ほうきを片付けないといけないので」


「あとでいいよ」



でも何言っても清々しいまでに断られて、部屋から出してもらえない。