「じゃあ、もう出る?」
「でもまだ10分も経ってませんよ」
「いまさらそれいっちゃう……」
時計を見たら5分しか経っていない。
でもいつもよりは十分遅い時間。
「ほんとはもっと居たいけど、しょうがないですね」
一拍遅れて、はあ、とため息が聞こえてくる。
それでも意外にも素直に動き出した晴海くんに驚いていたら。
かばんを肩にかけて。
わたしに向きなおったと思ったら。
真剣な顔をした晴海くんがいた。
思わずドキッとする。
「先輩、5分の埋め合わせしてください」
「う、埋め合わせ?」
また1歩近づいてきた晴海くんはわたしの肩に手を置いた。
――そして、ぐい、と、わたしの肩を抱き寄せてきて。
「え……―――んぅ」
気が付いたら暗い影がわたしを覆いかぶさっていた。
柔らかいものがピタリと重なって、わたしの呼吸を完全に止める。
だんだんと触れているところに熱を持ち始めるころに。



