でもまぁー、あの晴海くんのことだし人の呼び方なんて考えなさそうだけど。
晴海くんがゆっくりと体を起こしたらわたしと同じぐらいの目線になった。
まだ寝起きだから頭は起ききれてないみたいだけど。
「……ネクタイ曲がってるよ」
グイッと曲がっちゃってるネクタイを直そうとして、1歩前に出たら首元に手を伸ばす。
そしたら晴海くんがちょっと、ビクって、身構えたから驚いて。
顔を上げたら、目が合う。
「あの、さっきからあまりにも無防備過ぎません?」
「へ?……な、にが?」
そんなわたしの質問には答えなかった。
その代わりに晴海くんの手がこちらに伸びてくる。
パチ…と、音がした。
音の原因はリボンが外れたから。
「は、晴海くん……」
「…………」
「なんでこんなにスムーズにリボン外せるの…」
ふんわりと、晴海くんのにおいに包まれたのがまだ残っている。
柑橘系の甘くてさっぱりとした香り。
首の裏に少し手首が触れる感覚も一瞬だったけど、まだ残っている。



