「菫は忘れた?」
「……忘れてない」
「ううん、忘れてる。俺からは逃げられない、て言ったこと」
あの日、優衣と久しぶりに一緒に登校した日。
勝手に一人で行こうとした私にかけた言葉。
「さっさとあきらめな。どうせ逃げられないから」
……あ、ダメだ。
暗闇で、はっきりと視界が安定しない中。
確かに視線が交じり合った。
呪いにでもかかったみたいに身動きが取れなくなって、操られたみたいに鼓動が早くなる。
完全にこの部屋全部が優衣に支配されている。
「菫、さっきのもう1回聞いていい?」
「……っ、なに」
覚悟を決めていったつもりが、迫力はゼロ。
ダメ、吞まれちゃ、だめ。
「なんで、制服で来たの?」
「…………」
なんでなんて、そんな理由なんて……。
今日はわたしは制服姿。いつもはメイド服を着てくるのに今日はたまたま。



