状況理解が追い付かなくて、ただぼうっと立ってたら。
すぐにわたしの前に黒い影が立ちはばかった。
「……部屋にいたんじゃなかったんだ」
「ちょうど今帰ったところですよ、メイドさん」
嫌味たっぷりの笑顔で笑いながら言われたと思ったら、荷物を持っていた腕をとられる。
「っ、離……――」
そんな抵抗する暇もなくわたしの背後に手を回したら、ドアノブが回されて扉が開くとそのまま連れ込まれる。
そして優衣の手によって部屋の分厚い扉がごとんと重たい音を立てて閉じられた。
久しぶりのこの、空気に圧迫されるようなこの感覚はやっぱり慣れない。
閉ざされたカーテン。
温かさがない室内。
怖いまでに聞こえない外の音。
明らかにさっきまでといる世界が違う。
電気もつけずに暗い中だと顔も見えないから、ひとまず電気をつけようと手を伸ばすと、ふわ、と優衣の手が重なった。
スイッチを押すのを止めるみたいに、そのまま指を絡められて心臓がギュっと縮む。



