𖤐 ̖́-
ここまで来てしまった以上は引き返すのも無理だけど、久しぶりに見るこの迫力満点の扉を乗り越えるところから挫折してるんだから無理だと思う。
「こんなに怖かったっけ……?」
お父さんと話してまた1週間ほどがたった。
あれからというもの。
それはそれは屋敷の前まで行って逆戻りして、玄関に行って逆戻りして、メイド服を着たかと思ったらそのまま帰って。
その姿を見たほかのメイドからは「菫ちゃんがおかしくなった」と心配される事態にもなった。
ちゃんと優衣にあって話したいけど二人になる勇気はなかった、意気地なし。
そして、今日。
一週間かけて優衣の部屋の前まできたのである。重厚感ある扉にボコボコにされちゃってるけど。
やっぱりこの家、規格外だよね。
ずっと自分の家にいたからよりわかる。
大きすぎる扉も床に敷かれたカーペットも広すぎるお庭も全部どっかの貴族の家ですって、言われた方が納得する。
「菫ちゃん、とうとうここまで来たんだ」
「っ!ななさん」
――ななさん。
神楽家メイドメンバーでもトップレベルでこの屋敷にいるベテラン。どれほどか、と言ったらわたしがこの屋敷に初めて行ったときにはもう居た、それぐらい。



