「せめて、くん付けね」
「今ごろ変えるなんてできる気しない」
「でも縁談組まれてる同い年の二人が様付けだとおおかしいだろ」
縁談。
なんだかお見合いなんかよりより生生しい言葉に動きが止まった。
「すぐにでも断っていいから」
「……なんで?」
「なんでって、優衣さまには菫がいるじゃん!」
「菫は俺のメイドなだけで」
「それだけじゃないことぐらい12年も見てたらわかる!」
「…………」
あたしは二人の邪魔なんてしたくない。
メイドと雇い主では今後愛がはぐくめなくても、その穴埋めになりたくない。
二人のためにも。あたしのためにも。
「とりあえず、破棄はしない」
「……なんで」
「椿の気持ちも優先したいから」



