「落ち着いた?」
だいぶ心にも余裕が出来てきて、呼吸も安定した頃にそう聞かれて顔を上げる。
そしたらパチッと。
目が合っちゃって不自然に逸らしてしまった。やば、今の感じ悪かったかな。
なんて心配してるのに、クスッと小さく笑う優衣の声が聞こえたかと思ったら
「…………………………」
「ぇ、…………!!」
顎を掴まれてすごい勢いで彼の方を向かされた。
今度こそ、顔と顔を向けあって嫌という程近くで優衣が見つめられる。
「そらさない」
「は、はい……」
声はいつもと変わらず優しいのに目から感じる威圧感。こんなのわたしなんか逆らえない。
「菫」
たったひとこと。わたしの名前を読んだだけなのに圧がある。
無表情の顔、優しい声。
「すみれーーー!!ゆいーーー!!!
どこいっちゃったのよぉーーーー!!!」
「奥さま、わたくしどもでお探ししますのでどうか部屋でお待ちください……!」
「なんでよ!自分の子供たちぐらい自分で探せるわ!」
奥さま……。
遠くから聞こえてくる奥さまとお母さんの声にあたりの空気がふっと和らぐ。
「そういえばわたし達部屋抜け出してきたんだった」
「短時間で色々あってわすれてた?」
「うん」



