近距離恋愛はむずかしい






『菫が好きだよ』




…………はい?




階段裏、シーンと静まり返った場所。
そんなとこでぎゅっと抱きしめられて、わたしのなのか、それとも優衣のなのか分からない鼓動を聞きながら「すき」なんて言われたら。



「え、うへぇ、、うぇ……」

「菫!!」




へなへなぁーっと全身の力が抜けていく。

そんなわたしを優衣は両腕で支えてくれて、ゆっくりとわたしを座らせてくれた。




すき??





すきってあの好き???


え、この完璧王子様の優衣が好き??


誰を??





ここまで来たら一周まわって冷静になってきたかも。

待って、優衣ってお見合い決まってるって言ってたよね。


じゃあ好きな人居たらマズいんじゃ、いや、お見合い相手が好きなこともあるよね。



いや、好きな人って結局誰だ??


ダメだ、全然冷静じゃないよ。




「一旦落ち着こう。ほら、深呼吸」



吸ってーー吐いてーー

優衣の声に合わせてゆっくりと深呼吸してみる。優しく背中まで撫でられちゃって子供に戻った気分になる。