言いたいのか、言いたくないのか。口を金魚みたいに口をパクパク動かす蒼を視線で促すと観念したみたいに。
「彼氏、かなって」
「は?」
そんなことを言い出した。
かれし……?
予想もしてなかった答えに脳が停止する。
俺だっていろいろ予想した。明日提出予定の課題が終わってなかったり、係の仕事があったりと。そんな中に突如として『彼氏』なんて言葉が入ってくる。
いやいやいや
「普通にありえないでしょ」
「だよな!!!」
おい、さっきまでの静かさどこいったんだよ。その勢いに俺はビビっているけど蒼は特に気にした様子もなくバッと菫を指さす。
「あの菫が彼氏なんてないよな!!アハハ」
「お前、分かりやすく焦ってるな」
もう一度、菫の方をみる。俺から見える彼女はもう窓の外を見ないで視線を下げていた。
「なんで、彼氏なの?」
「へ?」
「だからなんで彼氏がいると思ったの?」
俺の質問が理解できなかったのか、視線を蒼に戻してもう一度聞く。菫に彼氏がいるなんて発想、そう簡単になるはずない。
「だってあいつほぼ毎日放課後残ってるから。それに高校生加えたらそんなの彼氏だろ」
「発想が浅はかすぎ」



