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「帰ってくる時ぐらいちゃんと連絡入れてくれたらこっちだって助かるってゆうのにさ」
「サプライズにでもしたかったんですよ」
優衣の部屋。相当慌てていたんだろうな。乱れた優衣の服を直そうとくるっと優衣の首にネクタイをまく。
「もしかして、わたしのこと探させちゃいましたか?」
「家に菫が帰ってないってきいて、特に考えずに学園に行ってた」
「それより」と、言うと優衣はわたしの髪をすっと掬い取ってやさしくなでる。
突然のことすぎて、自然とネクタイを結ぶ手が止まって、優衣の手をじぃーと見つめて。
それに気づいた優衣が次はわたしをからかうみたいにわたしの頬にふれる。
「結構走らせたよね。髪も乱れてたし」
「それは、全然大丈夫」
わたしの返事に困ったように、にこりと優衣は笑ってわたしの頭にポンっと手を置いた。
本当に、絵本の中の王子さまみたい。
まつ毛、すっごく長いし。肌も白くて。
漆黒の黒髪もとてもきれい。



