「ごめん。
こんなとこいても冷えてくるよね。帰ろっか」
「うん」
わたしの肩から顔を上げて、視線が重なるとそう言われて、静かにわたしも頷く。
そして、自然な流れで手が掬い取られて、エスコートされるみたいに車の中へと入った。
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案の定、屋敷は大慌て。
玄関のドアを開けた瞬間から、あっちこっち行き交う人の姿が目に入ってきて、思わずため息が出そうになる。
「こりゃあー大変だ」
「本当にみんなに土下座したい」
「本当にやらないでね」
優衣だったらやりかねないから怖い。屋敷の主人が使用人に土下座した時にはみんな固まって動けなくなってしまう。
「わたしはまず服を着替えてくるから優衣は部屋で待ってて?」
「わかった」
奥さまに、優衣のお母さんに会える。最後にあったのは約2ヶ月前。久しぶりの再会に心が踊っているのはきっとわたしだけじゃない。



