だんだんと見えてくる見慣れた黒塗りの車と見慣れないスーツ姿の優衣。
走ってくるわたしを見つけたら向こうもわたしに近づいてきて突然ガシッと肩が掴まれる。
「えぇー!!なに!!」
「ほんとごめん!」
グッと顔が近づいてきて、一気にわたしと優衣の間に隙間が無くなる。
いつもの下ろしただけの髪型とは違う、綺麗な黒髪がかきあげられた状態でセットされた優衣は大人の男性そのもので、うっとりと見惚れてしまいそうになるほどきれい。
それにわたしの知る優衣と雰囲気がかけ離れすぎて、その違いに酔ってしまいそう。
「えっとー、できれば分かりやすいように説明してほしい」
まずは状況を整理したい。
さっきから謝られてばっかで全然説明してくれない優衣の手にわたしの手を重ねて聞くと。
「今日、母さんが帰ってくる」



