「だっ、誰だって慣れてないことはできないから…」
「慣れていないのも意外です」
致死量レベルで晴海くんと目が合っているこの状況。
わたしが先輩で君が後輩。のはずなのに確実に晴海くんに押し負けている。
なんて返したらいいんだろう?ぴったりと合う返しがどうしても思い浮かばなくて
「……困る、晴海くん」
「……っ、すみません。出過ぎたまねでしたね」
見つめられていた瞳がわたしから離れて、魔法が解けるみたいにふっと空気が軽くなる。
そしてまた、カウンターに置いてあるはさみを持って画用紙を切り始めた晴海くんにわたしは全くついていけない。
ただ、一人置いてけぼり。はさみなんて持つ気力、もうないよ?



