「クッキーついてる」
「嘘でしょ……!」
取ろうと親指で右の口端を触るけど、クッキーらしき感覚はなくて
「違う、左」
「………!!」
なんて優衣の声が聞こえたかと思ったら、グイッて下を向いていた顔が勢いよく上を向かされる。
優衣の手がわたしの顎に添えられた状態で左の口端を優しく触られてしまった。微かに唇に優衣の指が触れるのを変に意識してしまう。
「うん、とれた」
「あ、ありが、とう……」
ただクッキーをとってくれただけなのに、こんなに意識しちゃうなんて、わたしどうしたんだろう。
せっかく冷まそうとしてたのに、逆効果でもっと熱くなってる気もする。
また熱を冷まそうと手をパタパタ動かし始めた時だった。
「まさかこんな目の前でイチャイチャされるなんてね」
「………!?!?」
あんなに一生懸命冷まそうとしていた努力はなんだったのか、次の瞬間体が一気に体が凍りつく。
明らかに優衣の声ではなくて、でもそんなの信じたくなくて。
声のしたほうを恐る恐る向くと満面の笑み浮かべた朝陽と目が合った。



