蓮のいた教室

 「おはよう」
 と、鈴を転がすような声がした。見ると、白鳥ゆきだった。なぎさは我に返った。
 「ゆきたん」
 と、蓮が甘い声でいった。
 「蓮」
 と、ゆき。
 ゆきは、なぎさに向いた。
 なぎさはほっとした。
 「おはよう」
 と、ゆき。
 「おはようございます」
 と、なぎさ。
 「ゆきたん、今日放課後、かもしか研究部ね」
 と、蓮がいった。
 「あ、ああ」
 と、ゆきがいった。
 「原宿さん」
 と、蓮。
 「は、はい」
 「放課後、よかったら、かもしか研究部、来るといいよ」
 と、蓮。
 「あ、はい」
 「お、おい、蓮、部室とか案内しなきゃいけないだろう」
 と、ゆき。
 蓮は片手を後頭部にやった。
 「あ、そうか」
 と、蓮。
 「面白そう。放課後暇だから、いいですよ」
 と、なぎさ。
 「原宿さん、放課後迎えにいくよ。クラスは?」
 (ええええええええええええ)なぎさはどっきっとした。
 「あ、おい、蓮。そんなことしたら、なぎさの彼氏が迎えに来たみたいになるだろう」
 と、ゆき。
 蓮はまた片手を後頭部にやった。
 「あ、そうか」
 蓮は笑った。ゆきも笑った。
 「原宿さんは私が迎えに行くよ」
 と、ゆき。
 「はい」
 と、なぎさ。