今日は文化祭!
これからシンデレラの王子様を演じる怜に「ギリギリまでそばにいて」と言われたので、なぜか舞台袖まで付き添っている。……シンデレラは1年Sクラスの劇なのに、部外者である私がこんなところに居てもいいんだろうか。
不安だけど、怜が怖いのかなんなのか、私をとがめる人は居なかった。
衣装チェックだったりメイクだったり、大人しくされるがままになっている怜を眺めつつだべっていると、切羽詰まったような叫び声が聞こえた。
「え、――ちゃんも休みって!」
「えええ!体調不良ってこと?」
「うん、熱が出ちゃったみたいで……」
私はちらりと彼女らに視線を向ける。深刻そうな表情でオロオロする女子ふたり。
大丈夫かなとは思ったけど、部外者が出しゃばるのもおかしいので私は静観を続ける。
あ、せいらがふたりに声をかけた。
「なるほど。…………まずは、これからのことを考えましょう。シンデレラ役本人も代役も居ないのは覆らない事実なのだから、新しくシンデレラ役を務められる人を探すべきよ」
「けど、本番までもうほとんど時間が……!」
せいらは余裕たっぷりに微笑んだ。
「アテはあるわ。――ねえ、ひより?」
って、そこで私に振ってくるの?


