狂愛×シンデレラ

「え」

 驚いて怜の顔を見る。
 無表情。ただひたすらに、どこか暗いところを見つめている。

 感情は読み取れないけれど、プラスの感情でないのは確かだった。

 形の良い唇が動いた。

「……やっぱり、」
 
 どんな言葉が続くのかはわからなかった。
 が、すぐに理解させられる。

(お前に意思はいらない)

「!?」

 テレパシーなのか、口は動いていないのに怜の声がした。

 くらくらする。
 意識が遠ざかっていく。

 背筋が冷えた。
 低気圧にやられる人ってこんな感じなんだろうか。
 いや、そんなことより。

 もし意思が消えたら、怜を好いているこの感情も、消えるのかもしれない。
 それが怖くて、暗くなりゆく視界の中、ぎゅっと怜の服をつまんだ。

「――ひよりに愛されておきながら、傷つけてるんじゃないわよ」

 そんなせいらの声が遠くで聞こえたような、聞こえてないような、気が、し……。