狂愛×シンデレラ

「――ひよりは優しいから、きっと白銀怜から離れようなんて思っていない。けれどわたくしは、なによりも現状維持を許さない。ひよりは白銀怜のためだけに消費されて良い存在じゃないから」

　せいらは本気だ。
　少なくとも、わざわざ授業を休んで計画を話すくらいには。

　しかしせいらが授業を休むのはこれっきりだろう。
　計画実行までにせいらと話せるのは今だけ。

　ここで何か言わなければ、きっとせいらは引き剥がしを決行する。

　けれど何を言えばいい？私は何がしたい？
　私は引き剥がされたくないのだろうか。

　ぐるぐる思考を巡らせ黙り込んでいる間に、終業を告げるベルが遠くで鳴って。
　せいらは「白銀怜が帰ってくるでしょうから早めに失礼いたします」と去っていった。

　暗い思考に沈んだ私を引き上げたのはせいらの声だったが、再び暗い思考に沈ませたのもせいらだった。
　せいらが言ったのはほとんど正論なので、完全に私のメンタルが悪い。