私・青空ひよりは、ここ寮の部屋に転移させられたあの文化祭の日から、一切この部屋を出ていない。というか出られない。
部屋の中を歩き回るのは自由で、ほしいもの(食材とか)を伝えたらだいたい怜が買ってきてくれて……とあまり不自由はしていないんだけど、この状況がよくないことは理解していた。
――ガチャ
鍵が開く音とドアが開く音がして、続いて怜の声が聞こえた。
「ただいま」
「おかえり」
玄関へ駆けつけて、せいいっぱいの笑顔で出迎える。……のだが。
いつも怜は疲れ切っていて、私の声には応えない。
ただただ、その金色の瞳に私を映して、ほんの少しほおを緩める。
それから私を抱きしめて、うわごとのようにひよりがほしいとかどこにも行くなとかつぶやかれる。
クマがあってもげっそりしていてもうつくしさは消えないもので、しかも怜は声もいいので毎回破壊力が強すぎる。つまりはいつの間にか首を縦に振っている。
けれど、どこにも行かないというよりは、どうやってもここから出られないというのが正しい。なんかすごい力で阻まれるのだ。
部屋の中を歩き回るのは自由で、ほしいもの(食材とか)を伝えたらだいたい怜が買ってきてくれて……とあまり不自由はしていないんだけど、この状況がよくないことは理解していた。
――ガチャ
鍵が開く音とドアが開く音がして、続いて怜の声が聞こえた。
「ただいま」
「おかえり」
玄関へ駆けつけて、せいいっぱいの笑顔で出迎える。……のだが。
いつも怜は疲れ切っていて、私の声には応えない。
ただただ、その金色の瞳に私を映して、ほんの少しほおを緩める。
それから私を抱きしめて、うわごとのようにひよりがほしいとかどこにも行くなとかつぶやかれる。
クマがあってもげっそりしていてもうつくしさは消えないもので、しかも怜は声もいいので毎回破壊力が強すぎる。つまりはいつの間にか首を縦に振っている。
けれど、どこにも行かないというよりは、どうやってもここから出られないというのが正しい。なんかすごい力で阻まれるのだ。


