狂愛×シンデレラ

 ひゅっと息をのむ音が聞こえた。

「………………どうして、」
「好きだから」

 怜の口から漏れ出た問いに、気がつけば言っていた。
 想いは今ここで言わなければいけない、とかいう謎の使命感に追われて。

「怜のことが好きで、怜と幸せになりたくて、でも、怜が夕陽まむの魔法にかかったとき、怜は私じゃ幸せになれないのかもって、思って」

 ――それなら、義母さんたちをどうにかして、私も居なくなろうって、決めてたのに。

 気づいたら涙が目に溜まっていて、ぽたっとこぼれた。
 怜もよく見たら泣いていた。

「……でも、怜の顔が見たくなって、学園に来て、もう怜を生で見るのは最後かな、告白しておけばよかったなって思ったから」

 どさくさに紛れて茶化しつつ告白したことはあったけど、真剣に言うのは今が初めてで。

「言えてよかった。怜が今どう思ってるかわからないのが怖いけど……私じゃない人のことが好きかもしれないけど、1回の告白くらいは許して」

 そう言った瞬間。
 なぜか私はふわりと怜の膝の上に座らされ、後ろから抱きしめられていた。
 たぶん転移魔法だった。

「……ほんとうに?」
「えこの場面で嘘つくとでも思ってたの」
「だったらさ」

 腕の力が強まる。

「ひよりの全部がほしい」