このまま永遠に手を繋ぎっぱなしなんじゃないかと思うくらいずっとずっと、無言で手を握っていた。多分、私たちには感情を整理する時間が必要だったのだとは思う。
ぐぅ〜っと、どちらともなくお腹が鳴った。
いくら感情を整理する時間が必要だとしても、やっぱり、ずっと衣食住ぜんぶをほったらかしにするわけにはいかない。
「……とりあえず、ご飯食べない?」
問いかけると怜はこくりと頷いた。
まず冷蔵庫の中身を見るところからかな、と思って手を解こうとするけど、強い力で拒まれる。
驚いて怜の顔を見ると、怜も目を丸くしていた。
怜は手を離し、申し訳なさそうに目を伏せる。
「すまない、無意識だった」
さきほどまで(マイクがあったとはいえ)ホールじゅうに声を響かせて熱演を繰り広げていた人間とは思えない声の小ささだった。
この部屋ではじめて挨拶した時の姿と重なって、ふふっと笑い声が出る。
「はじめて出会ったときのひと言目も、小声の『すまない』だったよね」
私は怜の前にかがんで、見上げる形で怜と目を合わせる。
深淵のようだった怜の金色の瞳が、一瞬ネコの目みたいに鋭く光った。
「これまでのことと、今の気持ちと、これからのこと。今からぜんぶ話すよ」
――だから、怜も教えてほしい。
そう言って笑いかける。
ぐぅ〜っと、どちらともなくお腹が鳴った。
いくら感情を整理する時間が必要だとしても、やっぱり、ずっと衣食住ぜんぶをほったらかしにするわけにはいかない。
「……とりあえず、ご飯食べない?」
問いかけると怜はこくりと頷いた。
まず冷蔵庫の中身を見るところからかな、と思って手を解こうとするけど、強い力で拒まれる。
驚いて怜の顔を見ると、怜も目を丸くしていた。
怜は手を離し、申し訳なさそうに目を伏せる。
「すまない、無意識だった」
さきほどまで(マイクがあったとはいえ)ホールじゅうに声を響かせて熱演を繰り広げていた人間とは思えない声の小ささだった。
この部屋ではじめて挨拶した時の姿と重なって、ふふっと笑い声が出る。
「はじめて出会ったときのひと言目も、小声の『すまない』だったよね」
私は怜の前にかがんで、見上げる形で怜と目を合わせる。
深淵のようだった怜の金色の瞳が、一瞬ネコの目みたいに鋭く光った。
「これまでのことと、今の気持ちと、これからのこと。今からぜんぶ話すよ」
――だから、怜も教えてほしい。
そう言って笑いかける。


