狂愛×シンデレラ

 どれくらいの時間がたっただろうか。
 私はいつの間にか、昔よくやっていたように、自分のベッド(推定)へ腰掛けていた。

 鍵が開く音。
 ドアが開く音。閉まる音。
 鍵がかかる音。

 足音。

 ゼンマイ人形みたいな(本物のゼンマイ人形なんて見たことないけど)、日常の動きを上辺だけなぞったような足取りで怜が歩いてきて、足を止めた。

 すでに衣装から制服に着替えていたらしい怜は、ゆっくりと私と目線を合わせて、それから怜は怜のほっぺたをむにむにした。

 肌荒れに悩む世界中の人が羨むであろう美しい肌がみょーんと形を変える様子は、怜の神妙な表情(ちょっぴり「きょとん」に近い)と相まって破壊力がとんでもない。

 天才的な頭脳を持ちクールな性格でありながら、こういうちょっと抜けてるところもあって、本当にギャップで死者を出せそうだ……などと昔はよく思っていたし、今も思う。
 自分の思考が変わっていないことにほっとする。

 それにしても劇の観客として怜を見ることができただけで奇跡なのに、こんなにも間近で会えるだなんて。転移魔法で飛ばされた時点で感情の振れ幅が限界突破していたけれど、感情がとどまるところを知らない。

 つまりは鼻血吹いて死にそう。

 いやもちろん頑張って生きるよ?「奇跡的に再会できたという事実に気づいた瞬間あまりの嬉しさに倒れて死にました!」はさすがにちょっともったいないから。