狂愛×シンデレラ

 ……すごい。そのひと言に尽きた。

 設備の都合でアニメやドラマみたいな背景は用意できない。
 だから基本的に言葉と動きだけで状況を伝える必要があるんだけど。

 ものすごくわかりやすかった。
 BGMだったりモブだったりを活かして、舞台を端から端まで上手く使って、観客を引き込むつくりになっている。

 それに、予想どおり主演は白銀怜と光石せいらだったんだけど、どっちも演技がすごく上手い。普段は犬猿の仲だったのが信じられない、というかもしかして私が卒業したあと普通に仲良くなったのかも?

 なんて考えながら舞台をじっと見る。

「……ジュリエット!」

 舞台の上のロミオが、観客の方を――正確にはやや上を見ながら、ジュリエットの名を叫ぶように呼んだ。
 同時に、ロミオの視線の先にパッとスポットライトが当たる。

「来てくれたの!?」

 ロミオの視線の先にあるのは、ホールの壁沿いにある2階部分?って言うのかな。
 体育館ならキャットウォークって呼ばれそうな場所。

 そこに――せいらが立っていた。