狂愛×シンデレラ

 発表時間が限られているため、また殺人や流血描写はよくないとの観点から、ストーリーにはアレンジが加えられているとまえがきに書かれていた。

 ざっくり脚本のあらすじをまとめると。

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 キャピュレット家のジュリエットと、モンタギュー家のロミオ。敵対する家に生まれたふたりは仮面舞踏会で恋に落ち、別れた後に互いの素性を知ると、バルコニーで落ち合って結婚の約束をし、神父に掛け合ってふたりだけで式を挙げる。

 しかし、ロミオがキャピュレット家の人間に絡まれ、返り討ちにしたとき、キャピュレット家の人間の脚の骨を折ってしまう。ジュリエットが悲しんでいると、彼女の両親は、彼女を元気づけるためにジュリエットと別の男との婚約を結び、ロミオを町から追放すると決めた。

 ロミオと添い遂げたいジュリエットは"死亡逃走"計画をスタート。
 つまりは死んだふりをしてロミオと共に町を出ようというわけだ。

 ジュリエットは神父にもらった薬で仮死状態になり、親族を騙し、町にある教会の棺桶で眠りにつく。火葬がメジャーではない地域だからこそできることだ。

 そこまでは順調だったが、すでに町を出ていたロミオへの連絡が上手くいかず、ロミオもジュリエットが死んだものと誤解。
 なんとかジュリエットのそばまで戻ってきたロミオは、仮死状態の脈がないジュリエットを目の当たりにし、震えながらもジュリエットの手を握り……そうして毒薬を飲んで永遠の眠りにつく。

 仮死状態から復帰したジュリエットも、ロミオが死んでいると気づき、同じ毒薬の瓶をあおった。

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 ……とまあ、こんな感じの、悲恋の話だ。

 さっきまで相手役がひよりではないことに不満しか感じていなかったけれど、ひよりとはちゃんと生きて結ばれたいから、これでよかったのかもしれない。

 死亡逃走。
 ひよりの現状と重なるところがあって、心がかき乱される。