クラスメイトたちの大半が、仲が良いひと同士で喋りながら、どの役割なら文化祭を楽しめそうかあれこれ考えているなか。

 光石せいらが俺の席まで歩いてきて、申し訳なさそうな表情をした。
 嫌な予感がする。

「お伝えするのが遅くなって非常に申し訳ないのですが、あなたはロミオ役です」

 表情も声色も取り繕ってるけど、絶対お前「申し訳ない」なんて思ってないだろ。

 そんなどうでもいいことを考えた。
 脳が理解を拒んでいた。

「そして非常に不服ですが、どうやらジュリエット役はわたくしのようです」

 今度は本当に不満そうだった。