「大丈夫。大丈夫だから」 「っ、うっ……」 「我慢しないで。璃子ちゃんには、俺がいるから」 あたしが泣き叫ぶ間、雪平くんはずっと背中と頭を優しくポンポンと撫でてくれていた。 何も聞かずに。 あたしを全部受け止めるように、包み込んで。 そしてただ、ずっと。 「璃子ちゃん」 暖かい、春の陽だまりみたいな心地好い声が、あたしの身体に降り注いでたんだ。 ……おかしいや。 さっきまであれだけ苦しかったのに。 そんなの嘘みたいに、全て溶けていった──。