「あ、やだあたしっ」 「いいから」 えっ? 「俺から絶対離れないで」 「きゃっ」 ぐいっと、隙間なくぴったりに引き寄せられる。 ドクン、ドクン。 高鳴る鼓動は聞こえるけれど。 緊張なのか、恐怖なのか、 なんのドキドキなのかもう、頭の中がぐじゃぐじゃでわからない。 ただわかることは、身体に伝う温もりと、力強い感覚だけ。 「うん⋯⋯」 あたしは小さく呟いて、そっと寄り添った。 ……不思議。 怖いはずなのに。 なんだろう、この安心感は──。