授業終了のチャイムが鳴り、あたしは机の上に広げた物を片付け始めた。
今日はこの後、講義は無い。
真っ直ぐ家に帰って、ゆっくり音楽でも聴こうかと思う。
「美綺?」
顔を上げると、ノートを差し出している和也が居た。
「ノートありがと。助かった。」
「…いや、良いよ。」
あたしは和也からノートを受け取る。
…ほんの一瞬、手がぶつかった。
「…美綺、手冷たいね。ちょっと此処に居て?」
和也はどっか行ってしまい、残されたあたしはノートやファイルを片付け続けた。
鞄を背負う前に、コートを羽織る。
もう11月も半分過ぎた為、外は寒い。
「…和也、人を待たせておいて、何処に行ったんだ?」
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