「…いや、あたしも言い過ぎた。ごめん。」
あたしは、今日の授業のノートを和也の前に置いた。
「今日のノートがこれ。プリントは無いから。」
和也はあたしのノートを軽く読んでから、あたしの顔を見て笑った。
「ありがとう、美綺。次の授業中に、全部写して返すから。」
授業のチャイムが鳴った。
和也は一緒に座っている友達と一言もしゃべらずに、黙々とあたしのノートを写している。
あたしは必要最低限のノートをとりながら、ケータイで内職に励んでいた。
フッと和也を見ると、動かしていたシャーペンを置いて、溜め息を吐いていた。
どうやら写し終わったらしい。
…あれ?あたしにノート、返してくれない?
何か事情、有るのかな?
あたしはそんな事を考えながら、また内職を続けた。
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