あたしも和也も、何故か時代劇が比較的好きで。
今日は、若手実力派女優が主演の時代劇映画を一緒に観に来ていた。
「映画、面白かったね〜。」
「面白かったぁ。あたし、主人公が斬られちゃうシーンで泣いちゃったよ。」
「それだけじゃないだろ、美綺。」
「え?」
あたしが和也を見ると、和也もあたしを見ていた。
目が合う。
「美綺、他にも何回か泣いてただろ。全部で4回泣いた?」
あたしは自分で、泣いた回数を数えてみた。
確かに4回泣いている。
「…よく分かったね、和也。」
「それだけ、美綺のコト見てた。」
「………え?」
どういう意味で取れば良い?
「…何でも無い。」
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