「梅木さん、ちょっと耳寄りな情報が」
瀬名先生がそう言って近づき、梅木さんに耳打ちを始めた。
何を言っているのか聞こえそうで聞こえない。
耳寄りな情報って、なんだろう。
耳打ちを終えて先生が離れると、梅木さんは口元を押さえて私を見た。
「まあ〜!それは邪魔できないわっ。瀬名先生とうちの孫じゃ、比べものにならないもの〜。孫に悪いかしらね、アハハッ。ごめんなさいねぇ、吉岡さん」
一体、先生は何て言ったのだろう。
「じゃあ梅木さん、お大事にしてくださいね。次の外来でお待ちしています」
「はいっ。また外来で会えるのよね。それまで元気に過ごして、先生にお話し聞いてもらわなくちゃ。先生のお話もね、うふふ」
挨拶を終えた先生は病室を後にした。
退院の案内はほとんど終えていたため、手首のネームバンドを回収し、私も最後の挨拶をして部屋を出る。


