一般内科に入院していた瀬名先生の患者様、梅木桃子さん(78歳)が、本日退院されることになった。
梅木さんは、ある日から左側の手足に痺れを自覚するようになり、脳神経外科の瀬名先生の外来を受診した。
検査の結果、小さな脳梗塞を起こしていることがわかり、入院して治療を受けていた。
治療のおかげで症状は改善し、内服管理のみとなったため、無事退院できることになったのだ。
瀬名先生は、退院日の朝にもきちんと患者さんのもとを訪れ、挨拶を欠かさない。
今日の私の受け持ち患者さんの中に、梅木さんも含まれていたため、退院の案内をしているところだった。
コンコン、と個室のドアがノックされ、入口の方を見ると瀬名先生が立っていた。
「梅木さん、おはようございます」
瀬名先生が中に入ってきて声をかける。
梅木さんと話していた私は、少し横に避けた。
「まあまあ、先生!わざわざ来てくださって、ありがとうございます」
梅木さんは軽く身なりを整えながら、嬉しそうに先生を迎えた。


