自分の気持ちを自覚してから数日間、私は自分でも驚くほど瀬名先生を意識してしまっていた。
元彼と比べるのもどうかと思うけれど、ゆうくんと付き合っていた頃の私って、こんなふうだったかな。
付き合っていたのは二年。
ドキドキというより、安心できる存在で、ゆうくんには悪いけれど、頭の中が彼一色になるほどではなかった。
仕事中は仕事に集中しようって思うのに
ナースステーションに先生の姿が見えるだけで、ドキッとしてしまう。
視線が合いそうになると、慌てて手元に目線を落としたりして。
自分でも、何をしているんだろうって思う。
プライベートの時間も同じだった。
先生とのメッセージを、何度も読み返してしまう。
新しい通知が来ていないか、意味もなくスマホの画面を確認してしまう。
こういう気持ちは、三十歳になったらもう感じることはないと思っていた。
二十代で終わるものだと、勝手に決めつけていた。
大人の恋は、もっと穏やかで、静かなものだと思っていたのに。
まるで、学生の頃みたい。
学生の時も、今みたいに胸が落ち着かなくなる恋を、確かにしていた気がする。
授業中も、帰り道も、何をしていても頭から離れないような……そんな恋。
でも……。
あれ?
あの時、私がこんなふうに想っていた相手って……誰だったかな。
考えようとすると、そこだけ、靄がかかったみたいに思い出せなかった。


