彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません


 そう気づいた瞬間、胸の奥が落ち着かなくなった。次に先生と目が合うことを想像しただけで、胸がきゅーっとなって、目の前にいないのに思わず目を逸らしたくなる。

 「あれあれ、自覚しちゃった感じ?まぁ、何はともあれ、私は、ひよりの幸せを願ってるよ」

 そう言ってまたビールを流し込んだ恵理ちゃんが「うま〜っ」と目を閉じてジョッキを掲げている姿に、すごく胸があたたかくなった。

 でも、
 それでも、忘れちゃいけないことがある。

 恋心を自覚したところで、
 この恋が簡単に報われるわけじゃない。

 先生には、
 どうしても忘れられない、大切な人がいる。

 そのことを思い出した途端、
 さっきまでの胸の高鳴りに、少しだけ、影が混じった。