彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません


 「ほんと、なんなんですかっ……」

 心の声が小さく漏れて、ストレートティーのペットボトルをぎゅっと胸に抱え込んだ。

 夜勤の自販機で会うなんて、ただの偶然。   
 わたしが勝手に振り回されているだけ。

 先生は、たぶんいつも通り。ただ、心配してくれただけ。あの距離だって、先生にとっては通常運転なんだ。

 そう言い聞かせて、ストレートティーのキャップを開ける。ゴクっと一口喉に流し込むと、やっと一息つけた気がした。

 「……寝よう」

 仮眠室へ向かいながら、私は軽く首を振った。

 切り替えたつもりでも、またすぐに頭の中を支配するさっきの出来事。

 考えすぎ、考えすぎだよ。

 眠いし、疲れてるし、ちょっと感覚がおかしくなってるんだ。

 そう思うのに、ベッドに横になって目を閉じても、眼鏡越しに向けられた視線が、なかなか頭から離れなかった。