彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません


——俺のだ。

 そんな言葉が、喉まで上がってきて、飲み込んだ。

 倒れそうになったひよりを抱き上げたとき。
細い腕が、無意識に俺の白衣を掴んだ。

 可愛過ぎるだろ……。

 あの仕草が、どうしようもなく愛しかった。

 忘れている。
 俺のことも。
 俺たちの過去も。

 それでも。

 (それでも、俺は……)

 彼女が誰かに支えられる姿を、俺以外の男に触れられるところを見たくなかった。

 医師としてじゃない。
 男として。

 守りたい。
 独り占めしたい。
 そばに置いておきたい。


 だから、また俺のことを見てほしい。
 たとえ……思い出せないとしても。