「……そっか」
それだけ言って、先生は何も聞いてこない。
少し間が空いたあと
「ちょっとのんびりするのに付き合って欲しくてさ、公園でがっかりした?」
「いえ!私はどこでもっ。こういう公園は好きなので、嬉しいです」
慌ててそう返すと、先生は穏やかに目を細めて「よかった」と呟いた。
公園内をゆっくり歩きながらベンチに座る。
先生が売店で買ってくれたコーヒーを手に取った瞬間、また胸がざわっとした。
「……これ」
「ブラック、苦手だっけ?」
「え?」
思わず先生を見る。
「……今は、ミルク入れます」
そう答えたけれど、なぜ“今は”なんて言葉が出たのか、自分でも分からなかった。
「無理しなくていいよ、じゃあこっち。カフェラテね」
先生はそう言って、自分のと交換してくれた。
指先が触れそうになって、思わず避けた。
その瞬間、
ズキッ。
頭の奥に、鋭い痛みが走った。
「……っ」
思わず額を押さえる。
「ひより?」
少し焦った声色の先生が、私の肩に手を伸ばしかけて、止めた。


