推しと私の秘蜜のリア恋



そして、そんな蓮水さんヲタクの私が何故いま上半身裸の彼に見下されているかというと、、


それは数時間前の昼休みまで遡る。



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私はいつもの如く、早々に昼食を済ませ自分の教室である8組から3組へと繋がっている渡り廊下で蓮水さんを待ち伏せする。


彼はいつも昼休みになると教室を出て、学食に足を運んで昼食を取っていることはもう1年のころからリサーチ済みの情報だ。


こうしてここに立っていれば、目の前を通り過ぎる蓮水さんを拝めることが出来る。所謂、"出待ち"のようなものだ。



蓮水さんはCHANELの香水を着けている。決してキツすぎることなく、フワッと香る程度のその匂いにいつも私は目眩がする。


品番ももちろんリサーチ済みで、同じ香水は家に5個常備してある。原液を直につけるとかなりキツい匂いがすることは実践済み。なので…程よい香りを放っている彼はおそらくかなり少量か、一度コットンなどにつけてから使用しているのかもしれない。

──そういうところも、推せる。


そんな細かいところにまで気を配っている蓮水さんに、尊さを感じずにはいられない!その姿を妄想する度に、私は香水になりたいと何度悶えたことか。


──ああ。蓮水さんに使ってもらえる香水、なんて幸せなんだ、羨ましい。香水になりたい。


なんて、また頭の中でぶっ飛び妄想が弾けた時、フワッとまさにいま想像していた香りが鼻から入り込んで脳内を駆け巡った。


慌てて我に返った私はキョロキョロと周りを見渡すと、、、


「唯斗、今日は"アイツ"とメシ食うよな?」


通り過ぎてしまって既に背を向けて歩いている、蓮水さんとその友人の後ろ姿が見えた。


──っていうか、"アイツ"とは?


アイツと食う、とは?

─…ま、まさか、、、彼女?!