エルウィンが宿屋に戻ると、スティーブを含めた騎士たちが一斉に駆け寄ってきた。
「大将っ! 待っていましたぜ!」
スティーブは真っ先にエルウィンに声をかけた。
「エルウィン様っ!」
「お聞きになりましたかっ!?」
「オズワルドが城を乗っ取りましたっ!」
「ああ、分かっている。いいか! お前たちよく聞けっ!」
エルウィンが声を張り上げると騎士たちは一斉に静まった。
「これより兵を2分化するっ! まず俺の直属の騎士たちと2番部隊はアイゼンシュタット城へ向かうっ! スティーブ率いる1番部隊と4番部隊はこの宿場村へ残り、奴等の監視を続けろっ!」
エルウィンは食堂の壁際に縛られて床の上に座らされている『カフィア』国の騎士たちを指さした。
騎士たちの中にはダリウスの姿もある。
「ハハハハハハ……。オズワルドの奴、ついにやったのか」
緊張する宿屋で1人、ダリウスの笑い声が響き渡った。
その言葉にアイゼンシュタット城の騎士たちに殺気が走る。
「黙れっダリウスッ!! 元はと言えば、貴様のせいでこのようなことになったのだろうっ!?」
エルウィンがダリウスに怒鳴りつけた。
「何だ? 人のせいにするのか? もとより反乱を起こそうなどと考える輩を放置していた城主であるお前の責任なんじゃないのか?」
拘束されている身でありながらダリウスの強気な態度は崩れることはない。
「何だと……貴様っ……! 叩き斬られたいのかっ!」
エルウィンが剣を抜こうとするのを隣にいたスティーブが必死に止めた。
「落ち着いて下さい大将っ!」
「くそっ……! あいつめ……っ!」
悔しそうに唸るエルウィンにスティーブは必死で言い聞かせる。
「大将っ! あいつ等は我らに任せて早く城へ向ってくださいっ!」
「あ、ああそうだな。任せたぞ! それじゃ行くぞ皆っ!」
『ハイッ!』
エルウィンの号令に一斉に返事をする騎士たち。
その様子を見て満足げにエルウィンは頷くとマントを翻し、共に城へ向かう騎士たちを連れて宿屋を出た。
「急げっ! 皆っ! 東塔の奴らの好きにさせるな!」
雪原を馬に乗って駆けながらエルウィンは背後に続く騎士たちに檄を飛ばした。
『はいっ!』
雪原を一列に並んで馬に乗って駆けながら、エルウィンはギリギリと歯を食いしばった。
(オズワルドの奴め……! よりにもよってミカエルとウリエルを人質に取るとはっ! 絶対に……奴だけは何があっても許してやるものか……ッ!!)
エルウィンはオズワルドに対する憎悪をたぎらせながら、アイゼンシュタット城を目指した。
****
「良いですかな? ミカエル様。ウリエル様。大人しくしていてください。妙な真似をなさらないことですな」
オズワルドは部屋の中で両手を後ろに縛られ、床に座らされた2人を見下ろしていた。
恐ろしい目つきのオズワルドに捕らえられたウリエルは恐怖で目に涙を浮かべている。
「ぼ、僕達をどうするつもりなんだ……?」
ミカエルは震えながらも、気丈にもオズワルドに尋ねた。
「あなた方はエルウィンをおびき寄せるための大切な人質です。大人しくしていれば何も危害は加えませんよ」
オズワルドは不気味な笑みを浮かべた。
「奴はあなた方を格別にかわいがっておられる。きっとお2人の為なら、命すらささげるでしょうな……」
「そ、そんな……!」
「酷い……」
怯えて震えるミカエルとウリエルをオズワルドは満足げに見つめている。
(やっとだ……やっとこの城を私の物にすることが出来る。南塔の騎士や兵士は、ほぼ掌握することも出来た。だが……その前にあの生意気な青二才の息の根を止めなければ……アイゼンシュタットの血は完全に根絶やしにしなければな)
オズワルドは自分の戦略がうまくいっていることに酔いしれていた。
だから油断をしていたのだ。
脱獄したロイと、下働きの者達の存在を完全に忘れているということに――
「大将っ! 待っていましたぜ!」
スティーブは真っ先にエルウィンに声をかけた。
「エルウィン様っ!」
「お聞きになりましたかっ!?」
「オズワルドが城を乗っ取りましたっ!」
「ああ、分かっている。いいか! お前たちよく聞けっ!」
エルウィンが声を張り上げると騎士たちは一斉に静まった。
「これより兵を2分化するっ! まず俺の直属の騎士たちと2番部隊はアイゼンシュタット城へ向かうっ! スティーブ率いる1番部隊と4番部隊はこの宿場村へ残り、奴等の監視を続けろっ!」
エルウィンは食堂の壁際に縛られて床の上に座らされている『カフィア』国の騎士たちを指さした。
騎士たちの中にはダリウスの姿もある。
「ハハハハハハ……。オズワルドの奴、ついにやったのか」
緊張する宿屋で1人、ダリウスの笑い声が響き渡った。
その言葉にアイゼンシュタット城の騎士たちに殺気が走る。
「黙れっダリウスッ!! 元はと言えば、貴様のせいでこのようなことになったのだろうっ!?」
エルウィンがダリウスに怒鳴りつけた。
「何だ? 人のせいにするのか? もとより反乱を起こそうなどと考える輩を放置していた城主であるお前の責任なんじゃないのか?」
拘束されている身でありながらダリウスの強気な態度は崩れることはない。
「何だと……貴様っ……! 叩き斬られたいのかっ!」
エルウィンが剣を抜こうとするのを隣にいたスティーブが必死に止めた。
「落ち着いて下さい大将っ!」
「くそっ……! あいつめ……っ!」
悔しそうに唸るエルウィンにスティーブは必死で言い聞かせる。
「大将っ! あいつ等は我らに任せて早く城へ向ってくださいっ!」
「あ、ああそうだな。任せたぞ! それじゃ行くぞ皆っ!」
『ハイッ!』
エルウィンの号令に一斉に返事をする騎士たち。
その様子を見て満足げにエルウィンは頷くとマントを翻し、共に城へ向かう騎士たちを連れて宿屋を出た。
「急げっ! 皆っ! 東塔の奴らの好きにさせるな!」
雪原を馬に乗って駆けながらエルウィンは背後に続く騎士たちに檄を飛ばした。
『はいっ!』
雪原を一列に並んで馬に乗って駆けながら、エルウィンはギリギリと歯を食いしばった。
(オズワルドの奴め……! よりにもよってミカエルとウリエルを人質に取るとはっ! 絶対に……奴だけは何があっても許してやるものか……ッ!!)
エルウィンはオズワルドに対する憎悪をたぎらせながら、アイゼンシュタット城を目指した。
****
「良いですかな? ミカエル様。ウリエル様。大人しくしていてください。妙な真似をなさらないことですな」
オズワルドは部屋の中で両手を後ろに縛られ、床に座らされた2人を見下ろしていた。
恐ろしい目つきのオズワルドに捕らえられたウリエルは恐怖で目に涙を浮かべている。
「ぼ、僕達をどうするつもりなんだ……?」
ミカエルは震えながらも、気丈にもオズワルドに尋ねた。
「あなた方はエルウィンをおびき寄せるための大切な人質です。大人しくしていれば何も危害は加えませんよ」
オズワルドは不気味な笑みを浮かべた。
「奴はあなた方を格別にかわいがっておられる。きっとお2人の為なら、命すらささげるでしょうな……」
「そ、そんな……!」
「酷い……」
怯えて震えるミカエルとウリエルをオズワルドは満足げに見つめている。
(やっとだ……やっとこの城を私の物にすることが出来る。南塔の騎士や兵士は、ほぼ掌握することも出来た。だが……その前にあの生意気な青二才の息の根を止めなければ……アイゼンシュタットの血は完全に根絶やしにしなければな)
オズワルドは自分の戦略がうまくいっていることに酔いしれていた。
だから油断をしていたのだ。
脱獄したロイと、下働きの者達の存在を完全に忘れているということに――



