19時――
ダイニングルームにはエルウィン、シュミット、スティーブの3人が揃っていた。
幼馴染である彼らは越冬期間中は週に1度は夕食を共にとることに決めていたのだ。
「何ですってっ? 今日はリアが1日2人と一緒に仕事をしていたんですかっ!?」
鶏肉料理を口にしていたスティーブが大声をあげた。
「ああ、そうだ。それがどうしたんだ?」
ワインを口にしながらエルウィンが返事をする。
「なんでっ! 俺を呼んでくれなかったんですか!」
「何でって……お前は今日は城の見回り当番だっただろう? ……やはり肉料理にはワインが欠かせないな」
「ええ、今日のチキンステーキはハーブが効いていて美味しいですね」
シュミットが賛同する。
「そんな話はどうでもいいです。いいですか? 大将。今度からリアを執務室に呼ぶときは必ず俺にも声をかけてくださいよ?」
スティーブの言葉にエルウィンが首を傾げる。
「何故、リアが執務室にいる時に一々お前に声をかけなければならない? 全く訳が分からない奴だな」
そしてワインを一気にググッとあけた。
「大将……。それ、本気で尋ねてるんですか……?」
スティーブは半ば呆れたようにエルウィンを見る。
「それにしてもお前といい、ダリウスといい……それにロイの奴迄何故あんなにリアに執着するんだ?」
料理を口に運びながらエルウィンはスティーブに尋ねた。
「え? ちょっと待って下さい。ひょっとしてまたロイが何かしましたか?」
スティーブは眉をしかめた。
「17時になったときにロイの奴が現れて、リアを連れ帰っていったんだ。いつものように抱き上げてな」
「あれには驚きましたね」
シュミットが会話に加わってきた。
「な、何ですってっ!? あいつ、またそんな真似をしたんですかっ!?」
エルウィンの話に驚くスティーブ。
「本当に驚きだ。あいつは何者にも無関心だったからな。それなのに、あんなにリアには執着しているのだから。明日も連れて来ると言っていたからな」
「え? 明日もリアは執務室に来るんですね?それじゃ、明日こそは顔を見に行かないと!」
「フン、来るのは勝手だが自分の仕事は怠るなよ?」
「ええ、勿論分かっていますって」
もはやアリアドネに対する好意を隠しもせずにエルウィンと会話するスティーブを見て、シュミットは心の中でため息をついた。
(全く……スティーブは理解しているのだろうか? 仮にもアリアドネ様は本来であればエルウィン様の妻となられるべき御方なのに。まさか忘れているわけじゃないだろうな……)
「ところでスティーブ。今日は城の見回りをしただろう? 何か変わったことは無かったか?」
食事を終えたエルウィンがスティーブに尋ねた。
「あ、そのことなのですが少し気になる話を耳にしました」
「気になる話?」
シュミットが眉をしかめる。
「どんな話だ?」
エルウィンが先を促す。
「ええ。どうやらゾーイが東塔のメイドにさせられて、騎士や兵士たちの相手をさせられているそうです……」
「何だってっ!?」
「まさかっ!」
エルウィンとシュミットが同時に声をあげた。
「その話、本当なのか? 俺はあれ程二度と、城内ではそのような行為を強要させることを禁じていたのに?」
「でも……こればかりは仕方ありませんね。東塔の管理は我々の管轄外に近いですから……」
シュミットがため息をついた。
「でも、あの女は少々痛い目を見たほうがいいかもしれないですよ? ……存外、その仕事がむいているかもしれないじゃないですか」
「確かに……」
「そうかもしれませんね」
スティーブの話にエルウィンとシュミットは頷くのだった――
ダイニングルームにはエルウィン、シュミット、スティーブの3人が揃っていた。
幼馴染である彼らは越冬期間中は週に1度は夕食を共にとることに決めていたのだ。
「何ですってっ? 今日はリアが1日2人と一緒に仕事をしていたんですかっ!?」
鶏肉料理を口にしていたスティーブが大声をあげた。
「ああ、そうだ。それがどうしたんだ?」
ワインを口にしながらエルウィンが返事をする。
「なんでっ! 俺を呼んでくれなかったんですか!」
「何でって……お前は今日は城の見回り当番だっただろう? ……やはり肉料理にはワインが欠かせないな」
「ええ、今日のチキンステーキはハーブが効いていて美味しいですね」
シュミットが賛同する。
「そんな話はどうでもいいです。いいですか? 大将。今度からリアを執務室に呼ぶときは必ず俺にも声をかけてくださいよ?」
スティーブの言葉にエルウィンが首を傾げる。
「何故、リアが執務室にいる時に一々お前に声をかけなければならない? 全く訳が分からない奴だな」
そしてワインを一気にググッとあけた。
「大将……。それ、本気で尋ねてるんですか……?」
スティーブは半ば呆れたようにエルウィンを見る。
「それにしてもお前といい、ダリウスといい……それにロイの奴迄何故あんなにリアに執着するんだ?」
料理を口に運びながらエルウィンはスティーブに尋ねた。
「え? ちょっと待って下さい。ひょっとしてまたロイが何かしましたか?」
スティーブは眉をしかめた。
「17時になったときにロイの奴が現れて、リアを連れ帰っていったんだ。いつものように抱き上げてな」
「あれには驚きましたね」
シュミットが会話に加わってきた。
「な、何ですってっ!? あいつ、またそんな真似をしたんですかっ!?」
エルウィンの話に驚くスティーブ。
「本当に驚きだ。あいつは何者にも無関心だったからな。それなのに、あんなにリアには執着しているのだから。明日も連れて来ると言っていたからな」
「え? 明日もリアは執務室に来るんですね?それじゃ、明日こそは顔を見に行かないと!」
「フン、来るのは勝手だが自分の仕事は怠るなよ?」
「ええ、勿論分かっていますって」
もはやアリアドネに対する好意を隠しもせずにエルウィンと会話するスティーブを見て、シュミットは心の中でため息をついた。
(全く……スティーブは理解しているのだろうか? 仮にもアリアドネ様は本来であればエルウィン様の妻となられるべき御方なのに。まさか忘れているわけじゃないだろうな……)
「ところでスティーブ。今日は城の見回りをしただろう? 何か変わったことは無かったか?」
食事を終えたエルウィンがスティーブに尋ねた。
「あ、そのことなのですが少し気になる話を耳にしました」
「気になる話?」
シュミットが眉をしかめる。
「どんな話だ?」
エルウィンが先を促す。
「ええ。どうやらゾーイが東塔のメイドにさせられて、騎士や兵士たちの相手をさせられているそうです……」
「何だってっ!?」
「まさかっ!」
エルウィンとシュミットが同時に声をあげた。
「その話、本当なのか? 俺はあれ程二度と、城内ではそのような行為を強要させることを禁じていたのに?」
「でも……こればかりは仕方ありませんね。東塔の管理は我々の管轄外に近いですから……」
シュミットがため息をついた。
「でも、あの女は少々痛い目を見たほうがいいかもしれないですよ? ……存外、その仕事がむいているかもしれないじゃないですか」
「確かに……」
「そうかもしれませんね」
スティーブの話にエルウィンとシュミットは頷くのだった――



