「おっと、反対もね」 彼は反対の袖を捲ろうとしたのだが、 それは彼からみて遠いほうの袖だったので、 顔と顔が、あまりにも近くなって。 わたしはびっくりして、 「ち、近いです…」 と震える声で言うのでした。 「わ、ごめんね、 よく距離感間違えちゃうんだ」 彼はまたごめんのジェスチャーをして、 今いた位置とは反対側に回って 袖口を捲ってくれた。