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「それであの時、咲人さんは本当に白馬の王子様みたいだったんですっ」

「……っ」


飛鷹さんが、ギリッと歯を食いしばる。
まさか私のために、泣いて……?


「飛鷹さん、私と一緒に悲しんでくれてありがとうございます……」


すると飛鷹さんはギロリと私を睨む。……ちょっと怖かった。


お風呂に入る際に洗濯&乾燥にかけた服が戻り、血の付いていないサスペンダーを着ている飛鷹さん。

その姿は、やっぱりサマになっていて。俳優やアイドル、モデルだか、仮にそう言われても納得してしまいそうな完成度。

それなのに、今も歪めたままの顔は、極悪人そのもので……あぁ、もったいない。


「ちげーよ。俺が苛立ってんのは、同じ話を何回してんだって事にだよ。もう五回目だぞ、いい加減ウンザリなんだけど」

「……そうでしたか?」


ぐすん、と涙する私に、飛鷹さんは天を仰いだ。「ただ聞くだけ」も、どうやら疲れるらしい。