「や、あの……っ、咲人さんッ」
「分かってる、何もしないよ」
「そうじゃなくて……。
私、今日は普通の下着なんです!」
「……」
一瞬あっけにとられた咲人さんだけど、私が何を言いたいのか理解したらしい。プッと吹き出した。
「だから言ったでしょ、何もしないって。ミミが大人になるまで出来ないんです、俺たちは」
「むぅ」
これがいわゆる「大人の意地」だろうか。
咲人さんは、別の意味でガードが堅い。
「それは嫌です。せめて今、キスだけでもしてくれませんか?」
「……キスだけでもアウトなんだけどね」
言いながら、咲人さんは私をお姫様だっこして、寝室へ移動した。
もちろんベッドはそれぞれ一つずつ用意されている。だけど一つのベッドに、二人一緒に着地した。
私の上に、咲人さんがかぶさる。穏やかな笑みを見ると嬉しくて、幸せで……口がフルフル震えた。



