咲人さんの頭の中に、私の両親のことが浮かんでいるとは知らない私。
同時に、ちょっとやらしい考えも浮かんでいたとは。もちろん知らなかった。
「これからミミは、もっと綺麗になっていくんだろうな。……俺の手で」
「え、ひゃあ!」
首筋に、手が添えられる。一気に熱を帯びた私の体は、もはや咲人さんの手が温かいのか冷たいのかさえも分からない。
「紫吹がミミを狙う理由。本当に〝ミミがお金に困っているから〟だと思う?――違うよ。ミミが可愛くて綺麗だから、狙うんだ」
チュッと、鎖骨にキスが落とされる。そのキスは、服をのけて、だんだん下がる。
「でもミミは俺のだから。誰にも渡さないし、誰にも奪わせない。ミミの全部は、俺がもらう」
「ぜ、全部、とは……?」
「……ふふ。〝指一本触れるな〟と言われたけど、これならセーフかな?」
にっこり笑顔の咲人さんは、左右全ての指を十本まるごと私の体に当てた。ゆっくりじっくり、時にみだらに這っている。



